« 今年も終わりだあ! | トップページ | 黒船が来た町で、子供たちに伝えたいこと »

2018年1月12日 (金)

美智子皇后を案内した男、松岡宏大

 インドの小さな出版社、タラブックスをご存知でしょうか?http://tarabooks.jp/

 手作りで美しい絵本を製作し、世界に注目されている出版社です。
 出版大国日本では、本屋が潰れ、売り上げは右肩下がり、出版社が出したい本を作ると言うより、取次の売り上げ至上主義に支配され、消費動向に合わせて本を作るようになっている。
 これでは新しい価値を、求める人たちに届ける仕組みになってはおらず、せっかくITが進化し続けているにもかかわらず、双方向的な楽しい本の世界を作り出せないジレンマに陥っている。
 作家である僕も苦境にさいなまれる一員なのだが、ひとりの旅行者が20年以上もインドに通い、このタラブックスに出合って、感激し、さらにタラブックスで扱った、インド先住民がいる村にまで足を運んで、日本で本を出している。
https://www.amazon.co.jp/%E3%82%BF%E3%83%A9%E3%83%96%E3%83%83%E3%82%AF%E3%82%B9-%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%83%89%E3%81%AE%E3%81%A1%E3%81%84%E3%81%95%E3%81%AA%E5%87%BA%E7%89%88%E7%A4%BE%E3%80%81%E3%81%BE%E3%81%A3%E3%81%99%E3%81%90%E3%81%AB%E6%9C%AC%E3%82%92%E3%81%A4%E3%81%8F%E3%82%8B-%E9%87%8E%E7%80%AC%E5%A5%88%E6%B4%A5%E5%AD%90/dp/4768308511/ref=sr_1_2?s=books&ie=UTF8&qid=1515744860&sr=1-2
 それが松岡宏大君である。
 松岡君は、カメラマン、ライターで、もう二十年も前に、「格安航空券ガイド」(双葉社)という雑誌で(下川裕治さんがやっていた)、お互いに記事を書いたりしていた間柄である。
 まさかここまでインドに入れ込んでいるとはつゆ知らず、この前、会った時、「大五さん、ずっとインド一筋ですよ」と言われてしまった。
 そのタラブックスが、昨年板橋区立図書館で展示され、なんと皇后の美智子さままでお越しになり、誰かご案内をということで、指名されたのが、日本で最もタラブックスや件の先住民に詳しい松岡君である。
「ところで、背広とか、持っていたの?」
 僕の問いかけに、周囲の人たちも深々とうなずいた。
 いかにも持ってなさそうな、髪の長いバックパッカーのような風体なのだ。
「それが、一着だけ、持っているんです」
 松岡君は笑って言った。
 自分が見つけた価値を大切にし、信じ、情熱を傾け続けた。そこにようやく扉が開いて、光が差し込んできたような出来事だと僕は思った。
 創作者に大切なのは、売る売れないより、何よりもこの情熱である。執念と言っていいかもしれない。
 それが人の心を打ち、この世を動かし、結果、売れるだけのことである。
 タラブックスの凄いところは、まさにそんな出版の原点から本を出し、しかも世界中で心を打たれる人が生まれていることだ。
 美智子皇后も、松岡君も、そんな心を動かされた一人なのである。
 また松岡君は、格安航空券時代のデザイナー望月昭秀さんと組んで、「縄文ZINE」と言うフリーペーパーも出している。ずっと赤字続きなのだが、「縄文は面白い!」と発信し続けている(売れっ子デザイナーになった望月さんが赤字を補てんし続けているという)。
 ITがもっと進化すれば、こうした現象は、きっと日本のあちこちで起こる。その方が今よりも楽しいはずなのだ。
 するとこの縄文ZINEは、口コミで伝わり、今では3万部も刷るほどになった。ほしい人が多いので、それならばと、今までの本を合本して発売される。
 https://www.amazon.co.jp/%E7%B8%84%E6%96%87ZINE-%E5%9C%9F-%E3%83%95%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%83%9A%E3%83%BC%E3%83%91%E3%83%BC%E5%90%88%E6%9C%AC-%E7%B8%84%E6%96%87ZINE%E7%B7%A8%E9%9B%86%E9%83%A8/dp/4990996305/ref=sr_1_1?s=books&ie=UTF8&qid=1515744860&sr=1-1
 
 昔の仲間がこうして頑張っているのは、すごくうれしい。
 何より、自らの価値観を信じて、情熱を注ぎ続けてきたことが尊い。
 板橋美術館での展示会は、美智子さま効果もあって、終盤は七十メートル以上も行列ができていたそうである。
 松岡君のトークショーには、百人以上の聴衆が詰めかけたという。
「今年は縄文が来ますよ!」
 新年のメールで、松岡君は力強く書いてよこした。
 

|

« 今年も終わりだあ! | トップページ | 黒船が来た町で、子供たちに伝えたいこと »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



« 今年も終わりだあ! | トップページ | 黒船が来た町で、子供たちに伝えたいこと »