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2017年12月15日 (金)

ミツバチに恋した男~ミツバチが世界を変える…かもしれない?

 下田市内の山に近いところに高橋養蜂園がある。一度遊びに来て下さいよと、高橋君に言われて行ってみることにした。

 養蜂園とは、ミツバチから蜂蜜をとって商売にすることである。普通に僕はそう考えていた。
 自宅は祖父が住んでいた家で、下田に来てまだ二年、子供の頃に夏になれば、祖父母に会いつつ、海水浴に来る場所であったと言う。ご両親は下田の出だが、彼自身は、神奈川県で育った。
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 彼の家の前には、ブルーベリー畑があった。花が咲けばミツバチのエサになる。ブルーベリーは無農薬でも育つので、選んだという。
「ミツバチは農薬に弱いんです。だから農薬を大量に使う田んぼが近いところなどでは、養蜂園はできません。この辺は田んぼが少なく山がちなので、ミツバチにはいいんです」
 蜂蜜の話になるかと思っていたので、思わずジャブを食らったような感じだ。
「蜂蜜ではなくて、ミツバチ?」
「そうです。農薬が苦手なミツバチが暮らせるところなら、人間にとっても最高に暮らしやすい環境になるじゃないですか。僕はここに、ミツバチの楽園を作りたいのです。ミツバチの楽園は、すなわち人間にとっても楽園ですよね」
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 GAPの帽子を深々とかぶる高橋君は、軽トラで僕を山の上に連れて行ってくれた。
 ミツバチの巣箱が、日当たりのいい場所に集められている。冬は数万匹が越冬し、最盛期には数百万匹になる。
 途中は、穴ぼこだらけの険しい山道だった。それでもかなり良くなったのだと言う。かつてはミカン畑だったのが、地主が高齢化で世話をできずに、荒れ果てた。今ではシカやサルの楽園になっている。
「シカはミカンの木の皮を食べて、全部木をダメにしちゃいました。だからこれから植え直すのです」
 山頂にほど近い場所が切り拓かれていた。
 青い空を仰ぎ見て、思い切り清らかな空気を吸い込む。まさにそこは、楽園である。
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「友人のTさんが手伝ってくれるおかげで、助かっています」
 Tさんは、今年下田に移住してきた。草刈り機も使えなかったのが、今ではチェーンソーでさえへっちゃらだ。山道の補修も彼がしてくれるという。力持ちでもあるらしい。
「元はと言えば、駅前で土産屋をやっているNさんが、僕の蜂蜜に目を付けてくれ、店に置いてくれたのが始まりなのです」
 Nさんは、デザイナーのW君を紹介し、W君が蜂蜜の容器や包装紙、案内文を作ってくれた。 
 D君は、南伊豆でわずか十年足らずで農業法人と林業の会社を立ち上げた若者だ。彼らが木の伐採などを引き受けてくれたという。
「二年前は、たった一人で、誰も友人がいなくって、どうしたらいいのかホントにわからなかった 。それがNさんが色々な人を紹介してくれて、みんなのおかげで、蜂蜜も売れるようになってきて、ゆくゆくは、観光果樹園もやりたいんです」
 高橋君は、夢と理想に向かって頑張っている。
 そんな彼を理解し、応援してくれる仲間が生まれた。
 そのことが、とてもかけがえのないことのように思えた。
 一人の理想郷などあり得ない。
 仲間がいてこその高橋養蜂園なのである。
 ここの蜂蜜は、そんな仲間たちの愛情がたっぷりこもっているようで、とても優しい味わいである。
 妻いわく、「いがらっぽかった喉に抜群にきく」のだそうだ。
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 今では父母も下田に戻った。
 加工場と店舗、事務所の建設も近いうちに始まる。
 高橋君は、恥ずかしそうに、「お嫁さんがほしいです」とつぶやいた。
「でも蜂蜜を好きな女性は多いのですが、ミツバチが好きな女性はなかなかいなくって」
 そう、高橋君は、ミツバチに恋してしまったのである。ちなみにミツバチの90%を占める働き蜂はメスである。
 それでも興味のある女性は、ぜひ見学においで下さい。
 ここは、人間にとっても、理想郷なのだから。
http://takahashihoney.net/

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