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2016年3月16日 (水)

芹澤郁雄下田土木事務所長への返事

 芹澤郁雄下田土木事務所所長からメールをいただき、僕も返信することにした。

 意見が異なり、立場が違っても、話し合いを深化させることができれば、より良い結論に近づいていくはずだ。
 行政と住民が対立するのは簡単だし、互いに信頼関係を構築できないのも、いつものことかもしれません。
 本来なら政治が間に入って、両者の間を取り持つべきなのですが、残念ながら今のところそんな動きはありません。
 某記者によれば、下田市の当事者意識のなさはいったいなんだと怒っていました。
 先日も某市議と話してガックリ(期待していただけに)。
「防潮堤なんてできるわけないから」
「なんでそんなことが言えるの?」
「だって伊豆の九割方は反対だろ。県だって住民無視でごり押ししないよ」
(調査でもしたのだろうか?)
「賛成のところもあるよ」
「…エッ? そうなの。俺よくその計画を知らないから」
 お話にならないのであった。
 防潮堤と防災、自然保全の問題は、伊豆の大きな問題で、しかも場合によっては、観光地としての存続も危ぶまれ、市民の生活権に関わる。
 にもかかわらず、問題が大きく、難しいせいか、市行政も議員も知らんぷりを決め込む。3月議会でも、議題に出ないほどである。
 だから市民の間にも情報が流れず、いまだこういった問題を抱えていると知らない人がほとんどだ。
 大きな問題が出ると口をつぐむのは、いつも通りだが、実はこうした行政と政治の在り方が、地方を疲弊させているもっとも大きな問題ではないのかとさえ思えるのであった。
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 静岡県総合庁舎内の津波イメージ図。
 賀茂危機管理局の垣内前局長時代に作った。ここの職員は、東日本大震災でも第一陣として、震災一週間後に岩手県遠野町に入り、凍える浄水場で寝袋で寝泊まりし、乾パンを食べながら、復旧に尽力した。
 すみません。
 僕の所長への返事は下記の通りです。
 近く、土木事務所から伊豆西南部地域の防潮堤イメージ資料が届きますので、随時公表していきます。
芹澤下田土木事務所様
 
お忙しい中、わざわざご返答いただき、ありがとうございました。
1月9日拙ブログ「岡崎大五の作家生活」で防潮堤問題を書いたところ、7000人ものかたがアクセスしてくれました。
この問題に、興味のある方は、地元だけでなく、伊豆にお越しなっている伊豆ファンも相当にいるのだなあと感じた次第です。
『サーフィンライフ』紙上でも、近く記事が出るようです。
僕は世界83カ国を見て回っています。その上で、移住先に選んだのが吉佐美でした。
この地域の持つ海を中心としたポテンシャルの高さは、世界水準です。
世界中で開発と汚染が進む中、伊豆半島がどのようなかたちで防災と自然保全を両立するのか。
これは世界的な事業だとも考えている訳です。
 
従来の「自然を破壊し、敵である津波から命と財産を守る防潮堤」という哲学は、伊豆には適さない。
いかに「自然と調和し、津波と共存するという日本人が養ってきた自然観を防災対策に投影する」か。
 
そのことが問われていると思っています。
結果、それができれば世界から賞賛をあびることにもなり、伊豆のポテンシャルの高さをアピールすることにつながっていく。
そんな事業を期待しています。
 
「静岡モデル」の定義が「その土地に合った防潮堤を整備する」となっていることが、まず大きな問題だと考えています。
「その土地に合った防災対策を講ずる」のなら、わかるのですが。
芹澤所長のご返事では、防災対策となっているのですが、そのあたりはどうもはっきりしませんね。
 
所長から頂戴したご返事ならびに、この返答も拙ブログで公開します。
周知するための一助とご理解いただければ幸いです。
さっそくフェイスブックには、伊豆を愛する東京の友人からコメントが入りました。
 
岡崎拝
 
 

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2016年3月14日 (月)

静岡県はエライ!(防潮堤建設問題で県の責任者がご返答をくださいました)

 静岡県はエライ!

 先月、防潮堤建設に関して、担当になる静岡県に「防潮堤建設と伊豆ジオパークは両立しないと思いますけど」という質問文を送ったところ、今日、メールで、担当となる下田土木事務所所長から回答が寄せられたのだ。
 防潮堤建設は景観の問題という軽い受け止め方でなく、「自然破壊そのものである」という認識は、まだまだ薄い。
 そして地元だけでなく、首都圏に多い伊豆ファンも議論の中に加わっていただき、様々な意見を言い合う。決定は地元と市、県がするにしても、誰でも参加できる意見交換の場が必要だ。
 どのように周知し、意見交換の場を設けるか。
 これはとても難しい。
 利権が絡むので、どうしたって「おまえらは黙ってろ!」という旧来型の日本恫喝民主主義が幅を利かせる。とくに田舎ではそうである。議論を嫌い、自分たちの都合のいい方に引っ張ろうという政治圧力が生まれる。
 正直、静岡県は防潮堤建設提案に関して、市民へのアプローチを誤った。
 今後の対応が期待される。
 ここに芹澤郁雄下田土木事務所所長の回答文を掲載します。↓
岡崎大五 様
このたびは、静岡県の行政に対し、貴重な御意見をいただき誠にありがとうございます。
 賀茂振興局長宛てに御意見をいただきましたが、担当であります下田土木事務所長から回答させていただきます。

静岡県では、第4次地震被害想定とその対策となる「地震・津波対策アクションプログラム2013」により、県民の生命・財産を守るようハード対策とソフト対策を関係市町とともに進めています。
これに関係して、現在、下田土木事務所と賀茂地域の各市町は、「静岡方式」による津波対策として、「津波避難体制の整備」や「防潮堤等の整備」等について、地域の皆様と情報を共有し、地域に実情に合った津波対策(避難対策・防潮堤等)を検討していく場として、各地区で津波対策検討会 地区協議会を開催しているところです。

 この中では、現在、想定されるレベル1津波に対して、「防潮堤が必要であるのか」、「必要ないのか」。また、必要であるならば、「どの程度の高さがこの地域の生活・環境・景観・利用等から考えられるのか」を地区の代表・漁業者・観光業者・防災関係者等と市町及び県により、意見交換を進めているところですが、これは防潮堤の整備を前提としているものではありません。

 また、今後、各地区の住民への説明会やアンケート等を通じて、多くの方々の意見を伺うとともに、ホームページ、回覧板、オープンハウス等を通じて、「静岡方式」による津波対策についての周知を図っているところであります。

海岸保全基本計画は、平成15年7月に初めて策定した際に、「周辺の自然環境や背後の地域景観との調和を図るデザインとするなど変化に富んだ海岸景観に配慮する」こととしています。その後も平成26年7月に変更を行っている中で、「施設整備にあたっては地域住民と合意形成を図った上で、減災効果や海岸利用・環境・景観・経済性等を総合的に検討していく」ことを記載していますので、以前からも環境・景観に配慮し進めております。

なお、ジオパークは、持続可能な開発の理念とともに、特異な地質に起因する災害に関する理解や対策を地域に浸透させていく取組でもありますので、このたびの津波対策の検討に当たっては、こうしたジオパークの理念、思想を踏まえていく必要があると考えております。

 今後とも、静岡県の行政に御理解、御協力をお願い申し上げます。

平成28年3月14日
下田土木事務所長 芹澤 郁雄

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2016年3月 4日 (金)

マラッカで出合った旅の達人

 マラッカの『ホテルホン』で、日本人グループの一向に出合った。マラッカでは日本人旅行者などほとんど見かけなかったので、めずらしかった。

 しかもこのホテルを、グループで選ぶとは、もしかしてグループの中に通がいるんじゃないかと思った。
 なぜならこのホテル、いつもタミール人のハウスキーパーが床をピッカピカに掃除しており、部屋も清潔、クーラーも新しい。バスターミナルとの無料送迎サービスがあり、洗濯も出せばやってくれるし(これは有料)、バスのチケットまでよやくしてもらった。コーヒー、紅茶、水は24時間サービスで、ネット環境もいい。しかも二日に一度くらいはカレーパフのおやつまである。
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 カレーパフ。やみつきになった。
 だからいつも混雑しており、ネットで一週間だけ予約した僕たちも、気に入って計23日間も泊まってしまった。
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右端がホテルホン。後ろに長い。
 話を聞くとグループのリーダーは、Mさんという女性で、マレーシアに通い初めて25年の自称「マレーシア親善大使」なのだった。年に、三、四回は来るという。
 そのMさんが、今週いけみの個展にあわせて、お父様とご一緒に下田に遊びに来てくれた。
 ホテルに会いに行って話すと、なんと僕の添乗員シリーズの読者であった。
「どこかで聞いた名前だと思ってたんです。家に帰って、本箱を見て思い出して。あの岡崎さんだったんだって」
『添乗員騒動記』が出版されてからもう二十年近くなる。つまりMさんは、別に僕の本にならったわけではないだろうが、私設の添乗員をやってきた。しかもマレーシア一筋である。
 聞けば、ホテルは超高級から、ホテルホンのようなリーゾナブルなところまで宿泊し、途中では、彼女の友人のマレーシア人のお宅訪問が必ず付いている。食事も高級だったり、その辺だったりと、旅の楽しみが満載なのだった。
 旅行会社ができない旅を提供している。
 今回も初めての海外旅行の二人がペナンで合流、クアラルンプールからちゃんと乗継できるか心配だったが、マニラから合流する人に世話を頼んだという。
 移動の車は、その都度合流、帰国といるので、フレキシブルに対応している。旅のしおりまで作成し、かつ、自分用の反省ノートまで作るという徹底ぶりで、プロ以上の添乗員でもあったのだ。
 今回下田にご一緒されたお父様は八十七歳。それでも年に一度はマレーシアなどに行くという。今年は五月に台湾の予定だ。
「いやあ、マレーシアはね、インド人と中国人とマレー人が全然違うのに、それで決して仲良くないのに、暮らしているのが面白いよ」
 年齢からしてお父様はすでに旅の達人の領域である。旅先のマレーシアで死んでもいいとまで言っている。それでいて、先ごろまでは、奥様の介護をされていたというから驚きだ。
 Mさんは次回八月にマレーシアに行く。娘の友人たちを連れてだ。
 しかしどれだけ連れていく人がいるのだろう。そして連れていく先々に、マレー人、中国人、インド人の友人がいるというから恐れ入る。
 旅の達人と言うだけでなく、コミュニケーション術の達人でもあったのだ。
「でも最初、三年くらいはなかなか打ち解けなかったわ。毎年何回も顔を合わせているうちに親しくなったの」
 そして二十年以上のお付き合いが続いている。
 いいホテルに泊まると、いい人に出合うものである。
 そんなホテルホンでの縁が、Mさんが、お父様と下田までお越し下さったことで、グッと深まった。
 さすが達人……。
 感服いたしました。

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