北新宿多国籍同盟
昨年の夏、書き始めた原稿が出版の運びとなった。
タイトルは『北新宿多国籍同盟』(祥伝社文庫)である。
新宿を舞台に、旧満州や北朝鮮をつなぐ謀略が浮かび上がってくるというサスペンスだ。
この小説を書くきっかけになったのは、二人の友人の存在である。
一人はHさんといって、新宿で旅行会社を経営している。もう一人はNさん。彼はフリーの編集者だ。二人とも十年来の友人である。
昨年のこと、彼らはごく近くに事務所を構えていた。新宿西口、小滝橋通り沿いである。
Hさんの会社では、その年の三月に中国東北地方の延吉行きチケットを大量に販売した。延吉とは旧満州の一地方都市である。北朝鮮国境にほど近い。
Nさんは中国語も話せる中国通である。旧満州のことにも詳しい。彼は中国残留邦人の話や、これまでの北朝鮮と中国の関わりについても話してくれた。
新宿から新大久保、大久保界隈には、中国人や韓国人が多く住んでいる。調べてみると、新宿の裏社会では、このところ旧満州に縁のある人間たちが台頭してきていることを知った。
どうも新宿と旧満州がつながっているようなのである。
そう考えると、小滝橋通りが旧満州につながる滑走路のように見えてきた。
Nさんは、
「最近、延辺料理も結構流行ってきているんだよ」
と新大久保にある延辺料理の店に連れて行ってくれた。
延辺料理とは、中華料理と朝鮮料理の混ざったような料理だ。串焼きやトウモロコシの冷麺が特徴的である。辛いけど美味い。ニンニクたっぷりである。
徐々にぼくの中で構想が膨らんできた。
Nさんにガイドを紹介してもらい、旧満州に取材に行ったのは、昨年の九月だ。
実際に川向こうに北朝鮮を見た。
ガイドのEさんは、現地の実情など事細かに解説してくれた。
旧満州の大地には、トウモロコシ畑やコーリャン畑が延々と広がっていた。
中心地大連に進出している日本企業も多い。工場団地にはよく聞く名前の会社も多数あった。
いつしかぼくの中で、日本と中国と北朝鮮がつながりはじめた。
新宿がまるで旧満州のように、新大久保のコリアンタウンが、まるで朝鮮半島のように見えるようになってくる。
それから初校を書き終わるまで三ヶ月、さらに一ヶ月余に及ぶ大幅な手直しを加えて、ようやく完成である。
時間の計算が合わないと思うかもしれないが、熟成させる期間も必要なのである。
そして昨日、見本がぼくの手元に届いた。
カッコいい表紙に仕上がっている(売れそう)。
昨日は間違い探しのためにもう一度目を通しつつ、寝るまでずっと本を触っていたので、すでによれよれになってしまった。
発売日は7月23日。
どうぞよろしく。
<お知らせ>
7月24日文化放送「みのもんたのウィークエンドをつかまえろ」に出演します。
ぼくの出演は14:00頃から15:00頃までです。
IPサイマルラジオ、山形放送、ラジオ福島、北陸放送、南海放送、高知放送、山口放送でも聴けるそうです。
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コメント
北新宿多国籍同盟 買いました。町田の本屋で入ったばかりのホヤホヤを手に帰ったところです。
昨年、着いた日に大連からハルピン9時間の夜行列車。ハルピンから長春3時間。長春からシン陽4時間。シン陽から大連4時間30分。毎日、汽車の移動でした。
ツアーのほとんどがつらい引き上げを経験された方々が多く、お話も興味深いものでした。満州に興味をそそられました。
今年は旅順と大連だけでしたが、引き上げを経験したとは言え、記憶にないという友人を交えて行き、ツアーの土日を挟んでいたので
経験のない若い人が多かった。
旅順は昨年、写真も撮れなかったところが解放されていました。
日本の大連会は帝国ホテルに1000人が集まるとか・・・
今夜。ゆっくり読みます。
投稿: 茜 | 2010年7月22日 (木) 16時56分
早速ご購入くださりありがとうございました。
日中の関係の中でも、旧満州と日本のつながりは、今もって相当深いと思います。そして隣は北朝鮮です。また別の意味でも関係が深い。
瀋陽が日本への自由旅行ビザ発給都市に選定されたので、今後ますます関係が深くなると思います。
投稿: | 2010年7月22日 (木) 17時30分