GW中に考えたこと
GW期間中も週休一日で仕事に没頭していたために、観光客の状況はわからなかった。でも近所のスーパーの人やペンションの人の話では、おおむね昨年より観光客が少なかったそうである。ETCを使えば高速が安くなるからと、どうもみんな遠出をしたのではないかというのが、伊豆・下田界隈の感想だ。
そう言えば、我が家の下の道でも、例年GW期間中は下田駅まで四キロほどの渋滞になるのに、今年は散歩していてもさほど混雑しているときを見かけなかった。
伊豆には経済効果が薄かったETC割引なのかもしれない。
日本の交通運賃はJR運賃を基軸に成り立っている。近ごろは格安バスがあるが、これもかつてはJRの普通運賃を基準に出発している。航空券もそうだし高速道路もそうだ。
ヨーロッパに行くと、鉄道運賃がもっとも高く、ついで飛行機、バスの順になり、乗客も鉄道からバスに向うに連れて非白人率が高くなる。つまり貧しい人はバスに乗り、中間層は飛行機に、富裕層は列車の旅と見事に分かれるものである。結果鉄道利用者は減り、どこの国でも鉄道会社は赤字に喘ぐ。
かたや日本のJRは、JR東海で1000億円以上の純利益を出している。
もし民主党が政権を取り、高速料金を無料化したらどうなるだろうか?
JR運賃を基軸にした日本の交通料金システムが瓦解するのではないのか。
今まで日本は世界でも稀に見る総中流社会を築いてきた。移動費に関しては、富裕層も貧困層も同じ値段を支払い、それでよしとしてきたのが流動的になり、JR運賃、航空運賃、船賃等が大きく値下がりするのではないか。そして価格競争の荒波に巻き込まれ、倒産するような会社も生まれるはずである。現に四国フェリーは、今回のETC割引制度で甚大な影響を受けている。
格差が進む社会の中では、格差に見合ったサービスが生まれるものである。同じく伊豆に遊びに行くにも、列車か車か船かというように。
来月開港予定の富士山静岡空港は鹿児島便があるのだが、値段を聞いて驚いた。片道五万円以上だそうである。いったいどんな富裕層が利用するのか疑問だ。往復十万円あればパリまで行ってこられるご時勢である。ヨーロッパで、格安航空会社を使うとロンドン~マルセイユ便に5ポンド(約700円)などというのも見つけた。
高速道路を無料化すれば、人の行き来は煩雑になる。その経済効果は大きい。同時に痛みも伴うが、どうなるのだろう?
そんなことを考えたGWです。
週末10日、講演会です。
どうぞお越しください。
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コメント
ヨーロッパの鉄道は確かに一番高いのですね。
しかし、ドイツに限った話かもしれませんが各種割引チケットが豊富にあるのも特徴かと思います。
夜7時以降の割引とか、早期予約で大幅割引とか・・・・。
某J○はその辺が本当にケチですね。
投稿: 小林麦酒 | 2009年5月 8日 (金) 19時22分
やはり、民主党の高速無料化は、大きな問題を抱えていると思います。
地方では、クルマは一人一台ですが、全て通勤、通学、通院、お買い物のために使っています。1年間一度も高速道路を使わずに過ごす人も、とても多いのです。
クルマや、ガソリンは、地方の人間にとって「生活必需品」です。
そうした「生活必需品」に課税される税金を原資として、地方の人間がほとんど使わない高速道路を無料化するのは、道理に合わないです。
「地方に観光客が増えれば地方にもメリットがある」などと頭のいい学者の先生方がおっしゃいますが、目に見えない効果に期待して、都会の人々に来てもらうために地方の人間も税金を負担しろなどというのは、頭のいい学者先生の「上から目線」の考え方です。
高速無料化はたいへん結構ですが、それを、クルマやガソリンに課税する税金、国債の発行による子供や孫の世代への負担転化などで、賄うなどというのは、勘違いもはなはだしいです。
道路公団の役員、従業員をリストラ解雇して、その人件費削減分を料金引き下げに使うというのであれば、まだ話はわかります。
投稿: 地方公共交通を応援します | 2009年5月 8日 (金) 22時31分
ドイツに限らずヨーロッパの運賃は往復割きが盛んですよね。これだと周遊旅行はしにくく、つまり周遊旅行は富裕層の旅になってしまいます。それでも日本のJRは割引運賃が少なすぎです。競争原理にさらされていないからだと感じます。もっとがんばれJR!
さて高速料金無料化ですが、予算の使われ方に不公平感があるということですね。ぼくも個人的にはほとんど高速を利用しません。ただし国土交通省とそれにまつわる権益を国民に返還しようという発想で、無料化には賛成です。大きな目で見て、社会資本は政府のものではなく国民共有の財産だと思うのです。
国民総中流時代には広く薄く全国民から税を徴収してきました(高速料金もこの一例かと)が、所得格差が広がる社会では、社会資本は国民に返還し、税の徴収体系を変革する必要があります。
所得格差が広がれば、高速道路使用の不公平感(なぜなら貧困層はこの社会資本を使えないから)のほうが増すと思います。
投稿: | 2009年5月 9日 (土) 08時27分
私の主張は、少し身近な例示をあげれば、わかりやすいかもしれません。
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例えば、
マンションの一部の住民が、来客用駐車スペースが欲しいと言い出し、管理組合に対して、敷地の一部に立体駐車設備を設置する案を提案しました。
その案とは、銀行からのローンで設置資金を調達し、借入れ金の返済とメンテナンス費用は、使用する人から料金をとって賄うという案でした。
マンションに住んでいるAさん夫婦は、「自分たちに来客者はいないので、そんな設備はいらないのに・・・」と思いました。
でも、管理組合の理事長から、「使用する人から料金を徴収するという『利用者負担』だから、Aさん夫婦には迷惑をかけないよ」と言われたので、その案に賛成しました。
ところが、実際に運用を始めてみると、一部の利用者から、料金が高すぎるという不満がでました。
調べてみると、理事長が、メンテナンス業者と結託して、メンテナンス費用を高く設定し、メンテナンス業者からキックバックを受け取っていることが判明しました。
すると、マンション住民のBさんが、「理事長の利権はけしからん。そもそも、来客駐車場は、組合全体の財産なのだ。思い切って無料化しろ。そうすれば、理事長の利権も剥奪できる。」と言い始めました。
Bさんの提案は、
①料金を無料にして、「借入金の返済」と「メンテナンス費用」は、マンション住民の月々の管理費から支出する。つまり「共有財産」なのだから、広く薄くみんなで負担するべきだ。
②その代り、修繕費積立金を減額して、管理費と修繕費積立金を合わせた、月々の支払総額は増加させない。
というものでした。
Bさんの提案では、マンション全体の修繕積立金が将来的に不足することが明らです。
でも、住民の多くは「当面は、月々の支払総額が上がらずに、無料化ができるのならいいじゃないか。」と思って賛成しました。
Aさん夫婦は、「そもそも使った人が負担する『利用者負担』という約束だったから自分たちは賛成した。後になって『共有財産だから管理費から支出する』といわれても・・・・・、そのうえ将来の修繕費積立金まで不足するのは・・・・」と不満に思いました。
Aさんは、組合の総会で、「組合の共有の財産であるからこそ、使った人から使った分だけ料金を徴収して、きちんと組合の収支に貢献するようにすべきだ。そうしないと、今はいいけど、将来の負担が増えることになる。理事長の利権を剥奪するのは大事だが、だからといって、いきなり無料化して管理費で払うというのは乱暴だ。」と冷静な議論を訴えました。
しかし、組合の総会では、「当面の負担が増えずに無料化できるならそれでいい。無料化して理事長の利権を剥奪しろ。無料化に反対する人は守旧派だ。『チェンジ』だ。『イエス・ウイ・キャン』だ。」という熱狂的な雰囲気の中で、Aさんの意見に耳を傾ける人は誰もいませんでした。
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岡崎さんのおっしゃる通り、高速道路が「国民共有の社会資本」であることは、当たり前です。
しかしながら、「国民共有の社会資本」であるという話と、「有料にすべきか、無料にすべきか」という議論とは分けて考えるべきです。
使った人が使った分だけ負担することになっている「社会資本」は世の中に数多くあります。
公共経済学の一般的な考え方では、洪水防止のために設置される河川の堤防など、利用者負担が不可能なものは「税金」で広く薄く負担するが、利用者負担が可能な社会資本はできるかぎり利用負担とすることが望ましいとされています。
国民共有の財産であるからこそ、利用者からきちんとした収入を上げて、国民の将来負担を軽減するように貢献すべきです。
高速道路会社への天下りや、ETC利権のために、料金の一部が高く設定されているならば、その不当な部分を下げさせるのは大事です。
しかし、「天下り憎し」「ETC利権憎し」「国民共有の財産だ」といって、いきなり利用者負担の原則を放棄し、無料化して税金で費用を賄うんだという極論にまで突っ走るのはおかしいと思います。
感情論だけで判断すると、少し前の「郵政民営化」の二の舞となります。「特定郵便局長の利権はけしからん。思い切って民営化しろ。」という議論と同じです。
あのときも、民営化に反対する者は、すべて「抵抗勢力」と決め付けられ、冷静な議論もなく、選挙に突入しました。
現在の社会の雰囲気は、「劇場型政治」の再来です。
世の中に、「無料化に反対する人は、全て守旧派だ」という雰囲気が満ちています。
いま少し、冷静な議論が必要だと思います。
投稿: 地方公共交通を応援します | 2009年5月11日 (月) 00時11分
高速道路の問題は、税の種類と使われ方の問題だと思います。特定の税が高速道路の建設、運用に使われており、そもそも特定の税のあり方自体が問題とされるのではないのでしょうか。特定の税があるからこそ、そのこに利権の温床ができ、非効率な運用が生まれる。
ただし、雇用の提供という点ではあながち否定すばかりでもない。
まずは道路特定財源を廃止するべきだと思うのです。そうすれば、税を支払っている人と利用する人の不公平感は少なくなります。その上で高速道路を有料化するか、無料化するかということではないでしょうか。
それから公共経済学の一般的な考え方ですが、貧富の差によって、社会資本を利用できる、利用できないの差異があってはならない。おっしゃっているのは、国民が平等の社会であるという前提に立っていると思います。
投稿: | 2009年5月11日 (月) 08時21分
丁寧なお返事のコメント、ありがとうございます。
さらに少しだけ、補足させてください。
実は、高速道路の建設資金には、一般の税金も、特定の税金(ガソリン税などの道路特定財源)も使われていないのです。
高速道路の建設資金は、各高速道路会社が発行する「財政投機関債」という社債を発行して、調達しているのです。
そして、調達した資金の返済は、全て、利用者から徴収する通行料で賄われています。
高速道路とは、徹頭徹尾、「受益者負担」「利用者負担」で作られてきた制度です。
道路特定財源(特定の税金)は、国道・県道・市町村道など一般道路の建設や維持管理に使われています。
整理すると、以下のようになります。
【国道、県道、市町村道など、一般の道路】
建設の資金・・・・ガソリン税や重量税など道路特定財源
料金・・・・・・・・・・税金で建設しているので「無料」
※ただし、「無料」というのは表面上。ガソリン税等という形で、みんなで費用を負担しています。
【高速道路】
建設資金・・・・・・財投機関債による「社債」=高速道路会社の借金
料金・・・・・・・・・・現在は「有料」。高速道路会社は利用者から料金を取って、それで会社の借金を返済している。
ただし、2年前から、政府は、道路特定財源で高速道路会社の借金を肩代わりして、その分、料金を値下げするということを行っています。
昨年の9月に行われたトラック深夜5割引とか、マイカー土日5割引とかいうものがそれです。
民主党の主張する高速道路の無料化とは、そんな政府の「チマチマ」したやり方ではなくて、高速道路に対して、毎年1兆5千億円の「巨額の税金」を投入して、高速道路会社の借金を全て税金で国が肩代わりし、高速道路を一気に無料開放しろというものです。
毎年1兆5千億円ですから、つまり10年で15兆円、20年で30兆円、30年で45兆円!!!
なぜ、これだけ膨大な税金を、これから高齢化が進み、財布も苦しくなる日本国民が負担しつづけなければならないのでしょうか。
30年で45兆円も税金を投入するなら、もっと別な税金の使い道があるのではないでしょうか。
日本の生産年齢人口は8000万人ぐらいですから、例えば30歳の夫婦は、これから30年間で、夫婦で合計100万円以上を負担することになります。
「損しないように、100万円分高速道路を使えばいいじゃないか」という話では、あまりに乱暴です。
近所のSCへの買い物、通院、通学。そうした日常生活でしか車を使わない人は数多くいます。
高速道路のために、そこまでして、貴重な国民の税金を投入していいものでしょうか。
ETC利権は確かに腹が立ちます。ETC利権をはく奪したいから、無料化だという方の気持ちも十分わかります。
だからといって、これから30年間で、1世帯当たりで100万円も、高速道路の借金を肩代わりしていく気には私にはなれません。
高速道路を無料にするのに税金を使うよりも、余っている税金があるのであれば、むしろガソリン税や重量税を安くするのが筋です。
ガソリン税や重量税が安くなれば、われわれ庶民の生活は、ぐっと楽になります。そっちの方がよほど経済対策になります。
でも、高速道路を無料化すれば、未来永劫、国民の税金は高止まりすることになります。
一時の熱狂で判断すべき問題ではないと思うのです。
今の世の中の論調は、「無料」という甘い言葉でこうした問題点を全て覆い隠しており、私には「郵政民営化」の茶番と同じように見えるのです。
乱文のコメント、お許しください。
投稿: 地方公共交通を応援します | 2009年5月11日 (月) 21時51分